紅葉の季節にはまだ早すぎる長瀞・秩父には観光客もまばらで閑散としていました。アルバムを見返してみると、昨年の秋に長瀞を訪れたのは十一月十一日。それでもようやく紅葉が始まったかなというほどだったので、十月の中旬ではこの通り、その気配さえありません。
本当は去年の秋冬に数回食した鍋を食べたくて、秩父の民宿に予約を入れようとしたのですが、民宿の旦那さん曰く「この日は畑仕事があるのですみません……」とのことで、期待の鍋にはありつけず。仕方なく長瀞のおそば屋さんで鴨南蛮と鴨つけ膳を食べました。
この中途半端な時期に秩父を訪れた一番の目的は、紅葉でも鍋でもなく、最近ようやく覚えた観音経を納経するためでした。数年前から会津若松地方を旅行でたびたび訪れるようになったのをきっかけに、ボケ防止も兼ねて憶え始めたお経ですが、延命十句観音経から始めて、般若心経、三陀羅尼を経て今回挑んだ観音経――しかし思いのほか苦戦しました。前半に「念彼観音力」がたびだひ繰り返され、少しでも気を緩めると自分が今どこを唱えているのか判らなくなってしまうという……。その長さも般若心経が短いと思えるほどで、来年五十路を迎える自分がどうにか一気に唱えられるようになるまでには結局、二週間以上を要しました。
最初に訪れたのが札所三番 常泉寺の観音堂で読経したときは、自分でもそこそこ満足のいくできだったのですが、次の札所十番 大慈寺に札所十六番 無量山西光寺では玉砕(爆)。やはり危惧していた「念彼観音力」の繰り返しに頭が混乱してしまいました。まだまだ修行が足りません。