代休が取れたので、先週の金曜土曜の二日をかけて、福島の桜を見てきました。今年は関東でも開花が遅く、中通りでは三春の滝桜をはじめまだ咲いていないということで、今回は圏央道が常磐道と繋がったことだし、中通りをひたすら北上し、南相馬から相馬、そして飯舘村・川俣町を通過して福島市の土湯温泉を目指してみることにしました。この片道だけで500km近い距離を走破。我ながら無謀だったかなとは思う(^^;)。
出発前の数日間はずっと福島の桜開花情報をこまめにチェックしていたのですが、浜通りの南、いわきでもまだまだ満開には至っていない様子。だったらいわきは素通りしてそのま南相馬に行ってしまえ、と予定を変更して常磐道を上へ上へとのぼっていきました。
福島にはここ最近になってから何度が旅行をしているのですが、会津と中通りばかりで浜通りを訪れるのは初めてです。そして南相馬に行くのであれば、桜を愛でる前にまず訪ねてみたかったのが大悲山の石仏でした。
事前に色々と調べてはいたものの、正直、どの道が今も通れなくてどの道は通行可能なのか――地元の人や業者の人にとっては常識なのでしょうが――関東に住んでいる自分には今一つ判りませんでした。グーグルマップで指示された道順をストリートビューで辿っていくと、常磐道の浪江インターを降りてから帰還困難区域らしき箇所に入るあたりで行き止まりになっています。
まあ、それでもどうにかなるだろうとカーナビに”大悲山大蛇物語公園”と入れて、浪江インターからナビの指示通りに進んでいったら、あっさりと着いてしまいました。浪江インターを降りてから大悲山に至るまでの景色は確かにちょっと哀しいものでしたが(詳細は敢えて述べない)、点在する家屋の中に人の気配はなく、それでも庭木や道端には桜だけが綺麗に咲いています。
大蛇物語公園に到着すると車が一台停まっていました。どうやら除染作業をしている業者の車のようです。自分がカメラの準備をしていると、大杉の向こうにある繁みからチリンチリンと鈴を鳴らしながら二人の作業員らしき男性二人が出てきました。どう見てもこのあたりの業者には見えない、いかついカメラ(SIGMA sd quattro+18–35mm F1.8 DC HSM)を手にした出で立ちの自分とばったり出くわして先方はちょっと驚いた様子。観光客がこのあたりを訪れることもあまりないのでしょう。
彼らに軽く会釈をしたあと大杉の方へと歩きながら「あの鈴って……もしかして熊よけ?」と一瞬、土湯温泉で見かけた「くまっぷ」と福島市内にある民家園での熊騒動がふと脳裡を過ぎり、ぞぞっ……となったのは内緒です(^^;)。
まずはお参りをということで、薬師堂の前で般若心経と薬師如来の真言を唱えます。しかしここでも信州の米子不動尊のときのように、納経をしている間だけずーっと風がごうごうと吹きつけてくるという受難を体験しました。そして真言を唱え終わると、すーっと風がやむという不思議。仏様に歓迎されていないのかもしれない(^^;)。
建物に上がると、部屋の様子は写真の通り。この雰囲気、一人だとちょっと怖いかもしれません。
そして石仏ですが、正直な感想を述べるとガラス越しに見るので反射がひどくよく判りませんでした。建物はセンサーが感知して人が近づくと電気がつくようになっています。
ラバーフードを持ってきていなかったので映り込みが大変なことになっていますが、この薬師堂に納められたのはもしかしたら最近のことなのかもしれません。「製作時期は平安時代前期と推定され」る石仏は表情もうかがえないほどに風化が進んでいます。
摩崖仏は仏像と違って修復もそう簡単にはいかない筈で、とにもかくにもこうして今の姿を見ることができただけでもヨシ、といたしましょう。
さて、この場所のもう一つの見所は大杉の霊木です。
白河の関で見た大杉も見事でしたが、大悲山の大杉はそれ以上。
怪物級の大きさで、これはもう絶対に神様がいるよなァ……と感じ入った次第です。写真にしてしまうとその超弩級の凄さがあまり伝わらないのがもどかしい。
さて、このあとは出発前の桜開花情報で満開と伝えられていた南相馬の相馬小高神社へと向かいます。続く。