十一月に長野へ行ったときの旅程を写真とともに綴っている最中ですが、先週、代休を利用してまたまた長野へと一泊旅行に行ってきました。今回は善光寺の再訪に加えて須坂の米子不動尊本坊・米子瀧山不動寺を訪ねる予定だったのですが、初日は長野自動車が事故で通行止めとなっていたためやむなく予定を変更し、まずは前回の旅行で行きそびれた小諸の布引観音を訪ねてみることにしました。
布引観音といえば、「牛にひかれて善光寺」で有名なお寺ですが、何しろトンデモない山登りを強いられると聞いていたのでもう少し季候の良いときに――と考えて前回はパスした次第です。それがあろうことか、前日に雪が降ったらしい冬の季節に登ることになったのですから何ともはや。とはいえ、来たからには覚悟を決めて、ひたすら険しい山道を登り、写真でしか見たことのないあの観音堂を目指すことに決めました。
登山口を入ってすぐのところに幾体かの地蔵が祀られていました。ご覧のとおり、氷柱が凄い。
道中には馬頭観音をはじめ、たくさんの石仏が祀られています。名付けて見守り地蔵。濡れ落ち葉で滑る山道で人とすれ違うことはついにありませんでした。登山口から観音堂は見えないので、いったいどのくらい登れば良いのか見当もつきません。一応、駐車場の看板には二十分ほどと書いてありましたが……。
不動滝まで辿り着くと、ようやく観音堂が姿を現します。
これは確かに迫力があります。山の中の断崖絶壁に屹立するそのさまは、日本というよりは中国っぽい。山水画のようなとでもいえば良いでしょうか。
もう少し登ると、朽ち果てた山門がありました。昔はここから観音堂を目指したのでしょう。山門の両側に立つ阿吽の仁王像がもの哀しい。
今は普通の建物があって、そこからさらに奥へ入ったところに観音堂があります。愛染明王が祀られている小堂を過ぎると、せり出した大岩の向こうに観音堂が見えてきます。
ここに来るまで一度も人に会うことはなし。下の建物に住職がいるのかもしれませんが、清涼な山の空気の中で般若心経と観音経を納経してお参り終了。雪に覆われた浅間山を背景に立つ観音堂は壮観でした。何枚も写真を撮りましたが、冬の光は相当に強く、sd QuattroのJPEGではハイライトがやや飛び気味。SONY α7sだったらもう少し浅間山のトーンは残せた筈ですが、今回はこれでよしとします。
下りはあっという間でした。それとお参りを済ませてから気がついたのですが、山道を登り切った建物の横に軽トラがおいてありました。その裏には車道が繋がっているようだったのですが、相当に狭隘な道路であることが察せられます。狭い雪道を延々と登ってくるほどの度胸はないので、徒歩での参拝でよかったと思います。
駐車場はそこそこ広く公衆トイレもあるので、やはり車を下に停めて、のんびり歩いて登るのが吉、でしょう。別所温泉の北向観音にも懸造の薬師瑠璃殿がありましたが、布引観音の迫力は段違い。公式のサイトもありませんし、小諸市の観光サイトなどでも扱いは地味のようですが、信州のお寺の中では今のところ善光寺と並ぶお気に入りとなりました。このあと善光寺に向かおうとしたのですが、長野自動車道の事故による通行止めはまだ長引いている様子。ということで、ここからは一般道を使って信濃三十三観音霊場の第23番札所である岩谷堂観音を目指すことにしました。続く。