北向観音から少し歩いたところに常楽寺はあります。最初は車で行くことを考えていたのですが、歩いてすぐとの観光標識を信じて北向観音を出たところからの緩い坂を登っていくと、あっけなく着きました。平成十五年に修復工事が行われた瓦葺きの本堂は素朴な感じで悪くありません。人気もなくゆっくりと境内を愉しむことができました。
樹齢350年と伝えられる御船の松は、「少し離れて眺めますと、宝船の形にみえ」てくるとのことですが、確かにこうして眺めるとそんな気がしてきます。ちなみにこの寺の本尊は妙観察智弥陀如来。靴を脱いで本堂に上がりさて納経しようと考えたものの、阿弥陀経は覚えていないので、仕方なく開経偈、懺悔文、般若心経のあと、観音経の代わりに阿弥陀如来根本陀羅尼を唱えて納経完了。このへんは敬虔な信者ではないのでかなりアバウトである(^^;)。
さてこのお寺の見所といえば、やはり国の重要文化財にも指定されている石造多宝塔ということになるでしょう。常楽寺のサイトによれば「木造のものでは重要文化財になっているものがいくつもありますが、石造で重要文化財のものは常楽寺のこの塔の他には滋賀県にある塔だけ」とのことですが、あまり多宝塔には詳しくないのでそのありがたみがよく判らないという……(^^;)。
この石造多宝塔への行く道は少しばかり判りにくく、境内を行ったり来たりした末、本堂の裏から続く鬱蒼とした杉林の中にあるのを見つけました。そこは墓地になっていて昼間でも十分に暗く、ちょっと怖い。
石畳の階段には濡れ落ち葉が凝って滑りやすく難儀しました。
また先ほど北向観音から出たところにあった観光標識で、国宝・八角三重塔がある安楽寺も歩いていける距離にあることを知ったので、ふたたび北向観音までとって返し、そこから安楽寺へ徒歩で行くことにしました。続く。